「年5日の有給休暇の確実な取得」が義務化

有給休暇を取得させるのが義務化されています

具体的には、「有給休暇を10日以上付与さ れている」労働者に対し、「年5日の有給」を付与した日から1年以内に実際に休ませないといけない、という義務です。

 

施行日は平成31年4月1日ですが、経過措置があります。経過措置では、施行日から「基準日」までは従前通りの扱いでよいとしています。

 

では「基準日」とは何でしょうか。

 

有給は、就職してから6か月経過すると、全労働日の8割以上出勤している場合は、法律上当然に発生します(発生する有給の日数は、週に何日労働かによって異なります)。<図1参照>

その後は、そこから1年毎に同様に有給休暇が発生します。

つまり、労働者は、就職してから6か月後、1年6か月後、2年6か月後、…と順次有給休暇を取得するのですが、この1年毎の各期間の初日が「基準日」とされます。

 

<図1参照>

出典:労政時報 第3959号 特集2「年5日の年休取得義務への対応」 P 55.図表2

 

 

例えば、昨年5月1日に就職した労働者は、その6か月後である11月1日に初めての有給休暇を取得します。

この11月1日が基準日になりますので、当該労働者にとっては、今年の11月1日から1年以内に「年5日」の有給を行使させなければならなくなります。

 

因みに、平成31年4月1日に新入社員が初めての有給休暇を取得するのは10月1日になりますので、この新入社員の取得する有給が「10日」であれば、年 5日を休ませる必要があります。<図2参照>

 

<図2参照>

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 働き方改革関連法解説(労働基準法/年5日の年次有給休暇の確実な取得関係)2019/03 P 5.

 

休ませ方

使用者は、労働者の意見を聴取して、できる限り労働者の希望に沿った時季に有給を行使させるように務めなければなりません。

もちろん、自主的に労働者が5日以上の有給を消化している場合は、何もしなくてもよいです。

なお、半日単位で休ませることもできますし、時間単位での有休消化も労使協定があればできます。

 

年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)の例

計画年休の導入には、就業規則による規定と労使協定の締結が必要となりますが、以下のような付与が可能になり、合理的な有休消化が期待できます。

ただし、個人が自由に行使できる有給枠を最低5日残す必要があります。

 

 

①会社や事業場全体の休業による一斉付与

 

②班・グループ別の交替制付与

・公休日が飛び石になっているような場合、飛んでいる箇所に有給を設定し、実質的な連休とすることができる(ブリッジホリデー)。

・閑散期に計画的に有給を付与する。

  いずれも、班・グループごとに設定することで社内の実効性が増す。

 

③年次有給休暇付与計画表による個人別付与・子どもの誕生日などにアニバサリー休暇を計画する。

 

 

管理簿作成義務、就業規則整備義務

使用者は、労働者ごとに有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

また、「休暇に関する事項」は、就業規則に記載しなければならない事項ですので、有給を行使させる「労働者の範囲」及び有給を行使させる「方法」等について、加筆修正をしなければなりません。

 

罰則

以前から有給は取得させましょうと言われていましたが、今回の法改正の大きな特徴は「罰則」があります。

特に、労働者の請求する時季に有給を与えなかった場合※(時季変更権が認められない場合)は、「6か月以上の懲役又は30万円以下の罰金」とされ、懲役刑までありますので気を付けてください。

 


※使用者は、労働者から年次有給休暇を請求された時季に、年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合(同一期間に多数の労働者が休暇を希望したため、その全員に休暇を付与し難い場合等)には、他の時季に年次有給休暇を変更することができる。

 

<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2019年11月5日号(vol.238)>

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

 

 

この記事を執筆した弁護士

弁護士 中川 正一

一新総合法律事務所
弁護士 中川 正一

一新総合法律事務所理事・新発田事務所長。 2005年弁護士登録。早期に事件の見通しを立て、依頼者の不安を解消する。そのための日々の研鑽を怠らないことを信条としています。

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