議決権の制限について(弁護士今井慶貴)

 

株主総会の決議は、株主の議決権行使により、原則として、「1株1議決権の原則」(資本多数決の原則)によります。

 

この原則の例外として、会社法上、次の場合には議決権が認められません。

第1に、議決権を定款で制限した「議決権制限株式」です(108条1項3号、2項3号)。

第2に、「単元株式制度」をとっている場合の1単元未満の株式です(308条1項但書)。

第3に、会社が自社の株式を持っている場合の「自己株式」です(308条2項)。

第4に、総株主の4分の1以上の議決権保有等により実質的に経営支配が可能な関係にある「相互保有株式」です(308条1項括弧書、施行規則67条)。

これは、会社同士の株式の持ち合いにより、経営支配の歪曲や出資の空洞化という弊害を避ける趣旨です。

 

これに対し、総会決議につき特別の利害関係を有する者(特別利害関係人)は、株主総会で議決権を行使することができます(この点は、取締役会における取扱いとは異なります。)。

ただ、それにより著しく不当な決議がなされたときには決議取消しの訴えの対象となる(831条1項3号)とすることで、具体的な妥当性を図っています。

 

弁護士 今井 慶貴

 

<初出>

・顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年4月15号(vol.148)企業・団体チーム16

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。