2013.11.15
【弁護士が解説】株式会社の特別清算とは?(弁護士今井慶貴)
株式会社の「特別清算」は、清算人、債権者、監査役、株主の裁判所への申立てにより、
1.清算の遂行に著しい支障を生ずべき事情があるとき、
2.債務超過の疑いがあるとき
に開始されます(会社法510条、511条)。
いわゆる「一般の債権」(清算手続費用の請求権や、労働債権等の一般先取特権その他の優先権ある債権を除く債権)は、「協定債権」と呼ばれ、協定に従って弁済を受けることになります。
この「協定」は、債権者集会において、
1.出席した議決権ある債権者の頭数の過半数、
かつ
2.議決権(債権額)の3分の2以上を有する債権者の同意により可決され(同法567条)、
裁判所の認可により協定の効力が確定します。
協定で債権カットがなされても保証人の債務には影響がありません。
清算人は、債権者、会社、株主に公平かつ誠実に清算事務を行う義務(公平誠実義務)を負い、一定の財産処分行為には裁判所の許可が必要となります。
一定の相殺禁止や強制執行停止の規定もあります。
協定成立の見込みがない場合等は破産手続に移行します。
特別清算は、実務上はそれほど件数が多くはなく、企業再生における第二会社方式の場合や、子会社の清算の場合などに利用されるのが典型例のようです。
<初出>
・顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年11月15号(vol.138)企業・団体チーム⑫12
※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。