ジャニタレに対する迷惑行為について(弁護士:渡辺伸樹)
ここのところジャニーズ事務所所属タレントへの迷惑行為が相次いで報道されています。
ジャニーズ事務所は昨年から公式サイトでファンに向けて何度か注意を喚起していますが、一部ファンによる迷惑行為は収まっていないようです。
今年の11月には所属タレントがブログで一部ファンの行為に苦言を呈したことが報道されました。
公式サイトによれば実際にあった例として、タレントの乗車する新幹線に近づき発車を妨げる行為、タレントに故意にぶつかったり抱きついたりする行為などが挙げられています。
所属タレントのブログでは、カバンの中に手を入れる行為についても言及されているようです。
このような迷惑行為に対しては、ファンクラブの会規違反として各種イベントへの出入禁止やファンクラブからの退会を求められることがあることはもちろん、悪質な場合には、刑事罰が下されることがあります。
先ほどの例ですと、新幹線の発車を妨げる行為については業務妨害罪、故意にぶつかったり抱きついたりする行為については暴行罪、カバンの中に手を入れる行為については窃盗未遂等が成立しえます。
過剰な付きまとい行為にはストーカー規制法が適用されることもあります。
今年の6月にはAKB48の元メンバーに付きまとい行為を繰り返した容疑で42歳の男性がストーカー規制法違反の疑いで逮捕されるという報道がありましたが、男性アイドルに対する行為であってもストーカー規制法の対象になります。
「アイドルだから追っかけられるのは当然だ」「他のファンもやっている」ということは迷惑行為を正当化する理由にはなりません。
一部ファンの行為により迷惑をうけるのは大多数の善良なファンであり、何よりタレント自身です。
新幹線の例のように一般市民に迷惑をかけることがあればイベントの開催自体が見直しになることもあります。
本当にそのタレントのファンであるならば、独りよがりの迷惑行為はやめるべきといえるでしょう。
関連する記事はこちら
- 名古屋自動車学校(再雇用)事件の最高裁判決について
- 企業が確認しておきたい消費者契約法改正のポイント(弁護士:佐藤 明)
- 不正競争防止法等の一部改正(弁護士:中川 正一)
- 事業者と公益通報制度(弁護士:海津 諭)
- フリーランス・事業者間取引適正化等法の概要(弁護士:角家 理佳)
- 過労死について考える(弁護士:薄田 真司)
- 音楽教室内で生徒が行った演奏は著作権者の著作権を侵害しないと判断した事例(弁護士:朝妻 太郎)
- 賃金のデジタル払いの制度導入について(弁護士:今井慶貴)
- 中小企業の株主総会運営・事務に関して(弁護士:勝野照章)
- Twitter上のツイート削除請求に関する最高裁判断(弁護士:長谷川伸樹)