「妊娠ローテ!?」マタハラでハラハラしないために!!(弁護士:五十嵐亮)
弁護士の 五十嵐 亮 です。
毎日新聞が2018年4月2日、次のような報道をしています。
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保育園に「妊娠ローテ」 “予定外”の夫婦、園長叱責
愛知県の私立保育園で、運営に支障をきたさないためとして園長が女性保育士の結婚時期や妊娠・出産の順番を決めていることが議論を呼んでいる。保育士の一人が順番から外れて妊娠。「子供ができてすみません」と謝罪したが、園長に「勝手にルールを破った」と叱責されたという。
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マタハラ対策は、政府が昨年策定した、「働き方改革実行計画」の中にも盛り込まれています。
すでに昨年1月1日より男女雇用機会均等法及び育児介護休業法の改正がなされており、事業主のマタハラに対する方針の明確化、マタハラに対する相談体制の整備などが義務化されたり、妊娠した女性に対する不利益な取り扱いが法令違反となるなど、マタハラに対しては厳しい姿勢で臨むという国の方針があらわれています。
改正育児介護休業法やマタハラに関する判例の解説につきましては、当事務所が運営するウェブサイトで掲載しておりますので、そちらもご覧ください↓↓↓
■https://niigata-common.com/category/info/amendment/改正育児・介護休業法%E3%80%80%EF%BC%98つのポイント
■https://www.n-daiichi-law.gr.jp/contents/information/4786
今回の報道のような保育園の対応が本当だとしたら、違法であるとの評価は免れないでしょうし、被害を受けた保育士から提訴されたら、慰謝料の発生は免れないと思われます。
私も、所内の職員から、「先生実は・・・・・・結婚することになりました!」と報告を受けたことが、これまでに何度かあります。一人は退職、もう一人は・・・(これ以上言うと公開セクハラになりますので自粛。。)そのたびに、めでたいような、さびしいような、何とも複雑な気持ちになります。
確かに、結婚出産により職場から一時離れることになることは、企業にとっては、マイナスの一面があることは事実です。私も、採用面接の際に、応募してきた方の履歴書を見て、「この人はすぐ結婚しそうだな」とか、「この人は・・・(これ以上言うと公開セクハラになりますのでまたまた自粛。。。)」などと頭の固いオッサンのようなことを思うこともあります。
しかし、結婚する、子どもが生まれるということは、とても素晴らしいことですし、そもそも、妊娠出産に限らず、介護、病気等は避けることのできない出来事ですので、このような事態も想定し、受け入れることのできる度量を持ちたいものです。
最近は、ダイバーシティ経営を実践している企業を表彰し、好事例を紹介しているものがたくさんありますので、そのような他社の好事例を取り入れてみるのもよいかもしれません。
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