2020.2.4

人事労務担当者必見!労働者が新型コロナウイルス感染した場合の注意点(弁護士:五十嵐 亮)

新型コロナウイルスとは?

 

新型コロナウイルスが中国・武漢市を中心に流行し、連日のように報道されています。

 

一般に「コロナウイルス」は、風邪などの呼吸器感染症を引き起こします。以前流行した「SARS」もコロナウイルスの一種のようです

 

昨年から中国・武漢市を中心に流行しているコロナウイルスについて、厚生労働省は「新型コロナウイルス」と呼称しています。

 

新型コロナウイルスが「指定感染症」に認定

 

日本国内でも、新型コロナウイルスの感染者が確認されており、政府は、令和2年2月1日付で、新型コロナウイルスを「指定感染症」として認定しました。

 

新型コロナウイルスが、指定感染症に認定されたことにより、新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることになるので、感染者が出た場合には、それに従うことになります。

 

新型コロナウイルスに感染した労働者を休ませる場合の注意点は?

 

新型コロナウイルスに感染した労働者を休ませる場合の一つの方法は、有給休暇を取得してもらうことです。

 

ただし、有給休暇は、付与日数に限度があり、原則として、労働者が請求する時季に与えなければならないものなので、使用者側が一方的に取得を強制することはできません。

 

もう一つの方法は、会社で定められた病気休暇制度を利用することです。この場合は、会社で定められた規定に沿って適切に取り扱うことになります。

 

有給休暇の適用もできず、会社所定の病気休暇制度もない場合には、欠勤扱いとすることになります。

 

欠勤扱いにした労働者に対し給与や休業手当を支払う必要があるか?

 

新型コロナウイルスに感染した労働者に対し、欠勤扱いとして休んでもらう場合、給与を支払う必要はありません。

 

では、休業手当(労働基準法26条)を支払う必要があるのでしょうか。

 

休業手当は、「使用者の帰責事由」による休業の場合に支払う必要があるところ、前述の都道府県知事による就業制限に基づく場合には、「使用者の帰責事由」はないので、休業手当を支払う必要はないと考えられます

 

この点について、本記事執筆時点(令和元年2月3日)では、

厚生労働省『新型コロナウイルスに関する事業主・職場のQ&A』

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00002.html

には、記載がありませんが、今後情報が更新されると思われますので、適宜参考にするとよいでしょう。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

五十嵐 亮
(いからし りょう)

一新総合法律事務所
理事/弁護士

出身地:新潟県新潟市 
出身大学:同志社大学法科大学院修了
長岡警察署被害者支援連絡協議会会長(令和2年~)、長岡商工会議所経営支援専門員などを歴任しています。
主な取扱分野は企業法務全般(労務・労働・労災事件、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)、交通事故、離婚。 特に労務問題に精通し、数多くの企業でのハラスメント研修講師、また、社会保険労務士を対象とした労務問題解説セミナーの講師を務めた実績があります。
著書に、『労働災害の法律実務(共著)』(ぎょうせい)、『公務員の人員整理問題・阿賀野市分阿賀野市分限免職事件―東京高判平27.11.4』(労働法律旬報No.1889)があります。