2019.12.25

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの残業代未払い問題について(弁護士:下山田 聖)

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの残業代未払い問題の概要

先日、株式会社セブン-イレブン・ジャパンが、全国各地のセブンイレブンで働くアルバイトやパート従業員に対して、残業代が未払いになっていたことについて記者会見を開きました。

 

記録が残っている平成24年3月以降だけで、約3万人の対象者に対し、損害金を含め約4.9億円の未払残業代があったということです。

 

セブンイレブン側からは、給与計算の過程において、本部が計算式を誤っていた旨の説明をしています。

 

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの残業代未払い問題の解説

⑴ 労働契約や労働法においては、一日当たりの勤務時間や一週間当たりの勤務時間が決められていますので、これを超過して勤務した場合には「残業代」が発生します。

 

⑵ 従業員に対する給与(残業代を含む。)というのは労働に対する対価として、本来は全額が支給されるべきものであるはずですが、いわゆるサービス残業など、必ずしも全額の支払がなされていなかったというのが実態でしょう。

残業代の適正な計算や、その前提としての労働時間の適正な管理は会社側の義務です。

 

⑶ 会社の側からみると、退職した従業員からそれまでの未払残業代をまとめて請求されるケースがあり(残業代請求権の消滅時効は2年間です。)、高額な支出を余儀なくされてしまうこともあります。

 

 

また、業態にもよるでしょうが一人の従業員だけ未払残業代が発生しているケースは少なく、残業代請求が頻発すると会社の経営にも悪影響を及ぼしかねません。

 

株式会社セブン-イレブン・ジャパンの残業代未払い問題のまとめ

残業代については、請求側(従業員側)でも被請求側(会社側)でも事件を受任することがありますが、給与体系として固定残業代を採用していた場合や残業代計算の基礎となる基礎賃金の計算など、法律的な論点が発生するケースもあります。

 

どちらの代理人に就いたとしても、法律上適正な金額の残業代を計算することが大切です。

 

また、会社の側の給与体系や就業規則を見直し、個々の従業員の業務の在り方を改善しなければ、問題の抜本的な解決は難しいのではないでしょうか。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 下山田 聖

下山田 聖
(しもやまだ さとし)

一新総合法律事務所 
理事/高崎事務所長/弁護士

出身地:福島県いわき市
出身大学:一橋大学法科大学院修了
主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)、交通事故、金銭問題等。そのほか離婚、相続などあらゆる分野に精通しています。
企業法務チームに所属し、社会保険労務士を対象とした労務問題解説セミナーの講師を務めた実績があります。