新型コロナウイルス感染拡大により重大な影響を受けている事業者の皆様へ③『キャッシュアウト(資金流出)を抑える方法について』(令和2年4月7日現在)』(弁護士:朝妻 太郎)

 

 

 

1 資金繰り改善のためにキャッシュアウトを減らす方策を考える

前回は資金繰り改善のため,融資を受けることでキャッシュイン(資金流入)を増やし,急場をしのぐという話をさせていただきました。

 

資金繰りを改善させるには,キャッシュインを増やす他に,キャッシュアウト(資金流出)を減らす,という方法が考えられます。

 

そこで,今回は,今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受け,公的に設けられたキャッシュアウトを減らす施策についてご紹介したいと思います。

2 もう申請はお済みですか?雇用調整助成金

雇用調整助成金とは,経済上の理由で事業活動の制限を余儀なくされた事業者に対し,雇用を維持してもらう目的で,国が休業手当などの一部を助成するものをいいます。この制度は,従前より存在していたものです。

 

雇用調整助成金を受けることにより,休業させた従業員に対して支払う休業手当等の一部を賄うことができ,結果として資金流出を少なくすることができます(同助成金は,助成率や上限金額が定められていますので,休業手当等の支出全額をカバーするものではありません。ご注意ください。)。

 

◆厚生労働省ホームページ(雇用調整助成金のページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

 

さらに,今回は,3月27日に公表されていますが,従前の制度が拡充されています。対象地域が全国になり,対象者についても,雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含めることとなっています。

 

◆厚生労働省ホームページ(新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大)
https://www.mhlw.go.jp/content/000615395.pdf

 

私自身,既にいくつかの事業所様から,雇用調整助成金の申請をしたとうかがっております。各地のハローワーク等が窓口となっていますので,まだ申請をされていない方については,是非利用の検討をお願いします。

 

3 国税の申告期限の延長や納税猶予制度について

国税に関しては,申告・納税の期限が,例年どおりの令和2年3月16日(申告所得税等)から,4月16日に1ヶ月延長されたことは既にご承知かと思います。さらに17日以降の申告に対しても柔軟に対応する旨の通知が出されています。

 

◆国税庁(確定申告期限の柔軟な取扱いについて)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-021_01.pdf

 

また,国税庁では,申告後の納税を一定期間猶予する制度を設けています。新型コロナウイルス感染症の影響により,国税を一時に納付することができない場合,一定の要件を満たす場合には,税務署に申請することにより1年以内の期間に限り,納税の猶予が認められる制度です。

他の税金の滞納がないことなど,いくつかの要件があることから,早めにお近くの税務署にご相談され,利用の可否を確認されるとよいでしょう。

 

◆国税庁(新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方には猶予制度があります)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf

 

なお,納税等の支払猶予制度は国税に限らず,地方税や厚生年金でも類似の制度が設けられています。猶予ですので,最終的には支払いを要することとなりますが,急場の資金繰りを改善させる方策としては十分検討に値します。

是非利用をご検討いただきたいと思います。

 

(参考)
日本年金機構(【事業主の皆様へ】新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度について)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200304.html

 

 

 

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この記事を執筆した弁護士

弁護士 朝妻 太郎

一新総合法律事務所
弁護士 朝妻 太郎

一新総合法律事務所理事・上越事務所所長。 2008年弁護士登録。 企業法務チームに所属。弁護士がトラブル解決のお手伝いをする上で、トラブルの本質を捉えることが何より重要と考えています。そのために、依頼者・相談者の方々の話をよく聞くことを第一にしていきます。