新型コロナウイルス感染拡大により重大な重大な影響を受けている事業者の皆様へ②『現在用意されている貸付制度について(令和2年4月6日現在)』(弁護士:朝妻 太郎)

 

 

 

1 現在用意されている緊急融資・信用保証の制度(令和2年4月6日現在)

窮状に陥った事業者の取るべき方策として,真っ先に想起されるのが,緊急時の融資により,急場の資金繰りを乗り切ることです。

 

新型コロナウイルス感染拡大により特別に設けられた政府系金融機関(日本政策金融公庫と商工組合中央金庫(いわゆる商工中金)からの借入の利用です。実質無利子若しくは低金利の特例融資制度を設けています。

 

詳細は,各機関の特設サイトでご確認下さい。

※緊急時の融資制度等は日々新しい施策が生まれています。随時チェックすることを強くおすすめします。

 

◆日本政策金融公庫(新型コロナウイルスに関する相談窓口)
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

 

◆商工組合中央金庫(新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口)
https://www.shokochukin.co.jp/disaster/corona.html

 

また,信用保証協会の保証も,経済産業大臣の指定を受け,既にセーフティネット保証4号,セーフティネット保証5号の利用を開始しています。信用保証協会の信用保証を利用して,金融機関から融資を受けるという方法です。

セーフティネット保証5号は利用できる業種は利用開始当初から対象業種が拡大され,3月16日時点では316業種に上っています。

 

◆一般社団法人全国信用保証協会連合会(新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の皆様へ)
https://www.zenshinhoren.or.jp/model-case/keiei-shisho.html

 

◆新潟県信用保証協会
http://www.niigata-cgc.or.jp/

 

4月5日の新潟日報朝刊でも報道されていましたが,これら政府が打ち出した緊急融資や債務保証制度といった資金繰り支援策の申し込みが,4月頭ころまでの時点で,累計10万件程度にまで上っているとのことです。実際に,政府系金融機関の担当者の方からも,多数問い合わせが来ているとの話を聞いているところです。

 

なお,ほとんどの施策について,利用するに際し,今回の新型コロナウイルス感染症による売上減少等を要件としている点に注意が必要です。

 

売上が現実に減少したと認定してもらえるよう,資料を整理することが必要となります。

 

この点は,皆さんの顧問税理士の先生方や会計事務所の担当者の方々が,最も熟知しているところかと思いますので,よくご相談いただき,必要十分な資料の整理・作成に努めていただきたいと思います。

2 その他の対策

前回の記事で,各社の現状の分析をして欲しいという話を書かせていただきました。

 

例えば,皆さんの会社が加入されている保険契約にはどのようなものがあるでしょうか。

 

緊急時をしのぐための借入として,各社が加入されている生命保険契約等の契約者貸付の利用も考えられます。今回のコロナウイルス感染症の拡大を受け,多くの生命保険会社が低利息若しくは無利息の契約者貸付制度を創設しています。

 

これは今回に限った話ではありませんが,経営悪化に陥っている経営者の方とお話しすると,自社が契約している保険契約を十分把握されていないケースがあります。把握していなかった保険契約の存在に気付き資金繰りに利用できた(解約返戻金によりまとまった資金を得られた等)ということもありました。このように保険契約が,(あくまで一時的な対処に過ぎないかもしれませんが)一時的な資金繰りの助けになることもあります。

 

保険契約に限らず,経営者の方が十分把握されていない換金可能な資産が存在することもありえます。資金繰表の作成など収支の分析のみならず,自社の財務状況の確認・分析も行っていただければと思います。

 

また,各自治体が設けている融資制度(自治体自体が貸し付けるものではなく,貸付主体は各金融機関,信用保証協会の保証の利用が条件となっているものもあります。)、特定業種向けの融資制度(こちらはごく一部の業種に限られます。)などもあるようです。これらも,是非一度ご確認いただければと思います。

 

(参考)

◆新潟市の例(新潟市制度融資に関するページ)

https://www.city.niigata.lg.jp/business/shoko/jorei/yushi/kashituske/seidoyushi/keieisie-korona20225.html

 

◆独立行政法人福祉医療機構(新型コロナウイルスの感染症の影響を受けた福祉・医療関係施設向けの融資制度について)

https://www.wam.go.jp/hp/fukui_shingatacorona/

 

 

今後、個別の事項ごとに記事をアップしていきたいと思います。

 

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 朝妻 太郎

朝妻 太郎
(あさづま たろう)

一新総合法律事務所
理事/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:東北大学法学部

関東弁護士連合会シンポジウム委員会副委員長(令和元年度)、同弁護士偏在問題対策委員会委員長(令和4年度)、新潟県弁護士会副会長(令和5年度)などを歴任。主な取扱分野は企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)のほか、離婚、不動産、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
数多くの企業でハラスメント研修、また、税理士や社会保険労務士、行政書士などの士業に関わる講演の講師を務めた実績があります。
著書に『保証の実務【新版】』共著(新潟県弁護士会)、『労働災害の法務実務』共著(ぎょうせい)があります。