AIソフトウェアのイメージと知的財産権(弁護士:今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所副理事長/新潟事務所所長/企業法務チームリーダー/2000年弁護士登録

1.依頼者にとってもっとも良い解決方法は何かを、依頼者の目線と、中立的な目線の両方に立って、依頼者とともに追求する。
2.解決のための道筋は、複数の選択肢を提供して、それぞれの長短を分かりやすく説明する。
3.連絡や問合わせには、できる限り迅速に対応する。仕事の質・正確性と量・スピードを両立できるように、 日々工夫する。
4.法分野はもとより、社会の動向には常に関心をもって、新しい情報を活用して幅広い分野に対応できるよう心がける。
5.依頼者はもとより、相手方も含めた関係者それぞれの人格を尊重して、事件を良い解決に導く。

 

第37回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

 

今回のテーマは、AIソフトウェアのイメージと知的財産権です。 

 

その1.文系でもAI人材になれる?

 

最近、『文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要』(野口竜司著)という本を読みました。

 「AIはExcelくらい誰もが使うツールへ!」という宣伝文句に惹かれたのですが(笑)、AIの基本から、ザックリした作り方のプロセス、企画力の磨き方、実際の導入例など、“生粋の文系”である私にも理解しやすい内容であり、この手のものに苦手意識がある方にも、非常にお勧めです。 

 

企画についての考え方を少し紹介すると、

誰のための?(顧客、取引先、従業員)、

なぜ必要?(マイナス〔不満、不便、コスト、作業時間〕を減らす、プラス〔満足、便利、売上、付加価値〕を増やす)、

どのタイプの?(識別系、予測系、会話系、実行形×代行型、拡張型)、

どんな?(名称、できること、解決されること)、

どう分業する?(人を補助、人を拡張、人が補助、完全代行)、

いつまでにどう用意する?(要件定義、構築済みサービスの利用か自作か、企画→データ作成学習予測)といった問いをもって整理されています。 

 

さて、機械学習(ディープラーニング)を利用したAIソフトウェアの作成プロセスとしては、

学習用のデータセットを作成し、

これをAIのプログラムに入力して学習させる学習済みモデル作成段階を経て、

学習済みモデルの利用段階に至ります。

 

それぞれの段階における知的財産の保護はどうなるのでしょうか? 

 

 

その2.知的財産権についてのイメージ 

まず、学習済みデータセット作成段階では、データ中に第三者の著作物を含む場合であっても、機械学習に際して著作権者の許諾を不要とする例外規定があります。

作成したデータセットについては、元データの体系的整理や正解データを付すことによって創作性がある場合にはデータベースの著作権が認められる場合もあります。 

 

次に、AIログラム自体には特許権や著作権が認められる可能性があります。

また、OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)というライセンス条件が緩やかなプログラムを活用したときに、手を加えた部分に二次的に著作権が認められるかどうかは場合によります。

 

最後に、学習済みモデルのうち、プログラム部分を除くパラメータ部分については、著作権が生じないと判断される可能性が高いようです。 

その他、不正競争防止法や契約条件等による権利保護が考えられています。 

 

 

最後に一言。

現在AIは汎用型」の強いAIではなく、「目的特化型」の弱いAIだそうですただの強がりすが、言ってみたいものです。

 

AIは、Excelみたいなもの!

 

ご注意

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