2023.11.29
うっかりステマに注意!(弁護士:今井 慶貴)
※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」を引用したものです。
第79回のテーマ
この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
今回のテーマは、うっかりステマに注意!です。
その1.ステマは景品表示法違反に!
“ステマ”とは、“ステルスマーケティング”すなわち、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠したものです。
一般の消費者は、企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれるものだと考えますが、ステマにより第三者の感想であると誤認すると、内容をそのまま受けとってしまいやすいものです。
結果として、消費者の自主的・合理的な選択を阻害しかねません。
そこで、本年10月から、ステマを規制対象とする告示が施行されました。
これにより、景品表示法で禁止している不当な表示の3種類(優良誤認表示、有利誤認表示、その他誤認されるおそれのある表示)のうち、「その他~」のものの一つとして、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」(=ステマ)が加えられました。
ステマ規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサーやアフィリエイター等の第三者は規制の対象外です。
その2.どのような表示が禁止されるのか?
事業者の表示と判断されるのは、「事業者がその表示内容の決定に関与したと認められる場合」です。
事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員(子会社等の従業員も含む)などが行った表示も含まれますので、例えば、事業者の販売担当者が販売促進目的で無関係な個人を装ってSNSで自社商品が優れているとアピールしたり、競合商品を誹謗中傷する場合にも該当します。
また、インフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
この依頼・指示は明示的なものでなくとも、事業者と第三者のやりとり、対価の内容・目的、事業者と第三者の関係性などの実態を踏まえて総合的に判断されます。
また、「一般消費者が事業者の表示であることが不明瞭で分からないもの」が規制の対象となります。
冒頭に「広告」と記載しても、文中に「第三者の感想」と記載するなど表示内容全体からみてわかりにくい表示ではいけません。
もちろん、個人の感想等の広告でないものや、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。
詳しくは、消費者庁のサイトにあるガイドブックに事例が掲載されているので、是非ご確認を。
最後に一言。
消費者庁の調査の結果、違反が認められた場合には、事業者に措置命令が行われ、その内容が公表されることになりますので、くれぐれも注意が必要です。
うっかりステマで信用を“捨てま”せんように。
一新総合法律事務所では、「契約書のリーガルチェック」「取引先とのトラブル」「事業承継」「消費者クレーム対応」「債権回収」「コンプライアンス」「労務問題」など、企業のお悩みに対応いたします。
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