中目黒にビジネス・コートがオープン!(弁護士:今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

第67回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

今回のテーマは、デジタル社会と財産隠しです。

その1.ビジネス専門の裁判所

今年10月、東京・中目黒に、ビジネス関連の事件を専門に扱う国内初のビジネス専門裁判所「ビジネス・コート」がオープンしました。

東京地方裁判所と東京高等裁判所の本庁舎は、霞ヶ関にありますが、そこから知的財産高等裁判所(東京高等裁判所の知財専門の特別な支部)と東京地裁の知財部(知的財産権や不正競争の事件等を担当)、商事部(会社法や独占禁止法関連事件などを担当)、倒産部(会社更生・民事再生・破産事件などを担当)がスピンオフし、中目黒の関東信越厚生局の跡地に新築された建物に集結したものです。

新庁舎は地下1階・地上5階建てで、総事業費は約83億円。桜並木が有名な目黒川に近く、外壁には淡いピンクも使われ、内部の案内表示などにも桜のモチーフがあしらわれています。

裁判所のWebサイトでは「ビジネス・コートのコンセプト」について、「選択と集中によりビジネス関連部署を集約した上で相互連携し、デジタル化による効率性を積極的に追求するとともに、専門性・国際性の一層の充実・強化を図り、利用者(ユーザー)の期待に応える新しい裁判所を実現」とそのコンセプトを説明しています。

ひいては、「日本全国の裁判所への情報発信・共有」「我が国の国際競争力強化」の実現を図るなど、裁判所らしからぬ意気軒昂な雰囲気を漂わせています。

その2.IT活用のための設備が充実!

IT化が遅れていた裁判所ですが、民事裁判の全面オンライン化を盛り込んだ改正民事訴訟法が今年5月に成立し、令和7年度中に訴状の提出から裁判記録の閲覧までデジタル化されます。

ビジネス・コートでは、館内にLANを張り巡らせ、18の法廷すべてに大型モニターが設置されました。

この画面を活用して、知的財産に関する技術的な説明を行うことが期待されています。

また、各地の裁判所では、既にWebによる争点整理の手続が行われていますが、裁判官室には、落ち着いてWeb会議ができるブースが計14か所設けられています。

写真をみると、大企業のオフィスにありそうなガラス張りのブースです。

地方で弁護士業務をしていると、東京地裁の専門部の事件を取り扱う機会は多くはありませんが、裁判所のIT化により、書類の提出や出廷の必要性が減れば、地方にいることの物理的な制約は少なくなっていくものと思われます。

最後に一言。

目黒というと、落語の「目黒のさんま」の噺を想い出します。

さて、ビジネス・コートは、利用者の期待に応えられるでしょうか?

 ビジネス裁判は目黒に限る。


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