STOP!カスハラ(弁護士:今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所副理事長/新潟事務所所長/企業法務チームリーダー/2000年弁護士登録

1.依頼者にとってもっとも良い解決方法は何かを、依頼者の目線と、中立的な目線の両方に立って、依頼者とともに追求する。
2.解決のための道筋は、複数の選択肢を提供して、それぞれの長短を分かりやすく説明する。
3.連絡や問合わせには、できる限り迅速に対応する。仕事の質・正確性と量・スピードを両立できるように、 日々工夫する。
4.法分野はもとより、社会の動向には常に関心をもって、新しい情報を活用して幅広い分野に対応できるよう心がける。
5.依頼者はもとより、相手方も含めた関係者それぞれの人格を尊重して、事件を良い解決に導く。

第60回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

今回のテーマは、STOP!カスハラです。

その1.望まれる事業主のカスハラ対策

2020年6月に大企業から施行された「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」が、2022年4月からは中小企業も含めてすべての事業所で全面施行となり、パワハラ対策が義務化されました。

私の事務所でも、中小企業や各種団体からのご依頼を受けてハラスメント対策研修を行っていますが、そこでのテーマは、社内におけるセクハラ・パワハラ・マタハラといった職場内でのハラスメントとなります。

これとは別に、取引先や顧客からのハラスメントの問題もあります。

これらは、従来から“クレーム対応”というジャンルで語られてきたものですが、最近は不当なクレームはハラスメントに他ならないという認識が浸透してきたため、“ハラスメント・ファミリー”に仲間入りしました。


厚労省によるハラスメント関係指針においても、従来のハラスメントに加えて、取引先等の他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(法人の場合はその役員)からのパワーハラスメントや顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により、労働者が就業環境を害されることのないよう、雇用管理上の配慮として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取組(メンタル不調への相談対応や複数対応)、③被害を防止する取組(マニュアル作成や研修実施等)を行うことが望ましいとされています。

その2.カスハラ対策マニュアルを読もう!

最近、厚労省では、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成し、Webサイト上で公表しています。50数ページのものですが、カスハラ対策の基本がよくまとまっています。

読んだ印象としては、従来からの“クレーム対応”として語られてきたことと大きな違いはありませんが、“働く人達を守る”というスタンスが鮮明になってきたと言えるでしょう。

同サイトでは、「STOP!カスタマーハラスメント」というポスターもダウンロードできます。

複数のデザインがあるほか、「任意のイラストを追加できるもの」というバージョンがあるのが謎ですが、ハラスメントの絵を自作してみるのも一興かもしれません。

これを店先に貼り付けてみたらどうでしょうか?これみよがし過ぎて、カスハラの種にされないことを祈ります…。

最後に一言。

日本では、顧客は丁重に扱われて当たり前という時代が長く続きましたが、揺り戻しがきています。

金を払うからといって、そこまで偉いわけでもなく、何事も分相応かつバランスが肝心です。

ということで、ここで一句。

 カスハラを するカスな客 ハラ立つね


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