ネット調停で協議離婚?(弁護士:今井 慶貴)
※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。
第54回のテーマ
この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
今回のテーマは、ネット調停で協議離婚?です。
その1.“ODR”サービスが市場に登場!
“ODR”という言葉はあまり聞き覚えがないかもしれません。
オンライン・ディスピュート・レゾリューション、つまり、オンラインによる紛争解決手続きのことです。
裁判外紛争解決手続き(ADR=オールタナティブ・ディスピュート・レゾリューション)の一種です。
この10月1日付で、ミドルマンという東京の会社がODRの専業事業者として国内初のADR機関の認証を取得したということです。
さっそく同社のサイトを見てみました。
「裁判でもない、泣き寝入りでもない、第三の選択肢」として、オンライン完結型調停機関「Teuchi(テウチ)」のサービスが紹介されています。
対象としては、離婚、敷金、その他(ネット取引等)が想定されているようです。
手続きは、1)アカウント登録してWEBから申立て内容などを入力して申立て、受理されると相手方に手続き参加要請、2)ケースマネージャーの進行のもとお互いの希望条件を整理、3)弁護士や認定司法書士である調停人が和解案を提示し、双方が合意すれば和解成立、4)オプションで取決め内容の公正証書作成もオンラインで依頼可能、といった流れだそうです。
その2.気になるお値段は?
サービスの特徴として、“成約手数料0円”、“原則2週間でのスピード解決”、“専任の弁護士・司法書士が担当”、“スマホひとつで全国対応”、“法務省の認証”が挙げられています。
なんか良いことばかりですが、筆者は同社とは無関係です(笑)。
値段については、例えば、離婚について見ると、申立料金がメール・SMSだと1,650円、郵送だと3,300円、調停料金が「親権、養育費、面会交流」のみの簡易版だと、初期調停料2ラウンド分31,350円、和解案作成料22,000円、延長料1ラウンドにつき22,000円となっています。
また、取決め事項の制限のないプラス版だと、初期調停料2ラウンド分53,350円、和解案作成料55,000円、延長料1ラウンドにつき33,000円となっています。
なお、当事者の双方又は一方が代理人を選定した場合は、初期調停料と延長料が2倍の金額になる(!?)とのことです。
家庭裁判所の離婚調停だと、申立手数料が1,200円+切手代1,000円程度ですので、はるかに廉価ですが、また違うニーズがあるのでしょう。
最後に一言。
ODRサービスを提供する事業者はこれからどんどん増えていくでしょう。
低額で迅速な紛争解決手段として定着していくのかどうか、今後の状況をウォッチしていきたいと思います。
これからは、こんな人も増えるのでしょうか?
出会いも、別れも、ネットを通して
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