紛争における振る舞いが物語るもの(弁護士:今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所副理事長/新潟事務所所長/企業法務チームリーダー/2000年弁護士登録

1.依頼者にとってもっとも良い解決方法は何かを、依頼者の目線と、中立的な目線の両方に立って、依頼者とともに追求する。
2.解決のための道筋は、複数の選択肢を提供して、それぞれの長短を分かりやすく説明する。
3.連絡や問合わせには、できる限り迅速に対応する。仕事の質・正確性と量・スピードを両立できるように、 日々工夫する。
4.法分野はもとより、社会の動向には常に関心をもって、新しい情報を活用して幅広い分野に対応できるよう心がける。
5.依頼者はもとより、相手方も含めた関係者それぞれの人格を尊重して、事件を良い解決に導く。

 

第48回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

 

今回のテーマは、紛争における振る舞いが物語るものです。

 

その1.棋士の現役引退と子の連れ去り問題

最近、将棋の「ハッシー」こと橋本崇載八段が現役を引退し、ユーチューブチャンネルで、妻に生まれて間もない子を連れ去られた被害者であると告白したことが話題となりました。

橋本八段は、「配偶者による子の連れ去り問題」を世に問うべく、次々と動画を投稿しています。

 

別居に際して、主たる監護者である母親が子を連れて家を出ていくことは世間的にままみられるところです。

そのような事態に至る背景は、個々に様々であり、軽々しく論評できませんが、突然に子との日常生活を断ち切られる父親のことを想像すると、大変に辛いものであろうと思います。

実際、橋本八段が現役を引退するほど精神的に追い詰められたことからもそれは窺えます。

 

もっとも、動画を見ていると、橋本八段による妻をはじめとした他者に対する誹謗中傷に近い表現や、司法関係者に対する思い込みに満ちた発言が気になりました。

また、橋本八段が妻から将棋連盟を第三債務者とする差押えを受けたという話もありました。

支払義務があったにもかかわらず、妻に対する(おそらく婚姻費用の)支払いをしなかったということなのでしょうか…。

 

その2.メタレベルでも評価される現実

 

夫婦や親子の問題においては、人の性格や態度が考慮される場合があります。

例えば、性格の著しい不一致やモラル・ハラスメントの有無などが、正面からあるいは暗黙のうちに問われたりします。

 

その場合、調停や訴訟において提出した書面や態度から、本人の意図しないところで、その人の性格や行動特性が見え隠れしてしまことに注意が必要です。

例えば、あくまで程度問題ですが、主張書面の内容・表現が攻撃的である場合や協議において全く譲歩をしない場合などには、「普段の夫婦関係においてもそのような面があったのではないか」という推測がなされるリスクがあります。

 

得てして、紛争の当事者は、自分の言い分を通したいがあまり、自己の振る舞いが周囲にどう映るかに気をかける余裕が失われがちです。

また、そもそもメタ認知が苦手という人もいます。

 

アドバイザーとなる弁護士としては、その点のフォローを心がけたいところです(クライアントが聞く姿勢を持っていればですが…)。

 

最後に一言。

何をするにつけても、所期の目的は何であったのか、今やっていることがその目的に沿うことなのか、意図に反する受け止めがなされるリスクがないのかを、第三者的に観ることを忘れないように心がけたいところです。

あえて“将棋”にかこつけると…

 

「大局観を持つことが大事」

 

(このコラムは2021年4月26日発行のTSR情報に掲載されたものです。)

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