中小企業は生産性向上の敵か?(弁護士:今井慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報(新潟県版)」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所副理事長/新潟事務所所長/企業法務チームリーダー/2000年弁護士登録

1.依頼者にとってもっとも良い解決方法は何かを、依頼者の目線と、中立的な目線の両方に立って、依頼者とともに追求する。
2.解決のための道筋は、複数の選択肢を提供して、それぞれの長短を分かりやすく説明する。
3.連絡や問合わせには、できる限り迅速に対応する。仕事の質・正確性と量・スピードを両立できるように、 日々工夫する。
4.法分野はもとより、社会の動向には常に関心をもって、新しい情報を活用して幅広い分野に対応できるよう心がける。
5.依頼者はもとより、相手方も含めた関係者それぞれの人格を尊重して、事件を良い解決に導く。

今月のテーマ(2020/1/25発行 TSR情報)

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

 

今回のテーマは、中小企業は生産性向上の敵かです。

 

その1.菅総理のブレーン?

皆さんは、デービッド・アトキンソン氏という人をご存じでしょうか? ゴールドマン・サックス時代にバブル崩壊後の銀行不良債権を指摘して有名となり、退社後、文化財修復等を手がける小西美術工藝社の社長になった在日英国人です。

菅総理の官房長官時代から観光・経済政策に助言をしてきたところ、昨年、政府の成長戦略会議の議員に起用されました。

 

アトキンソン氏の中小企業論が話題となったこともあり、積ん読になっていた同氏の『日本人の勝算』という本を読んでみました。

要約すると、人口減少時代の日本は、「高付加価値・高所得経済」でないと維持できない、そのためには、海外市場を目指すこと(インバウンドもその一つ)、大企業の方が中小企業より生産性が高いので企業規模の拡大が必要であること、生産性を高めるために最低賃金を引き上げるとともに人材トレーニングを強制することが主張されています。

世間では、菅内閣の成長戦略では中小企業保護が薄れ、合併・買収を促進するような方向性になるのではという懸念も生じているようです。

 

その2.生産性の低い事業者は生き残れない

 

日本における労働生産性(労働時間に対する人件費や利益等の付加価値額)がOECD諸国の中で低位にあることはつとに指摘されています。

「無駄に時間をかけて、安い仕事をしている」と言われると甚だ心外ですが、失われた30年において、コストカット型の安さ競争により、日本全体として貧しくなったことは否定できません。

 

少子化による労働力人口の激減に伴い、人手不足に拍車が掛かることは明白であり、今後、生産性が低く労働条件がよくない(給与や労働時間、育児休業等)事業者は労働力を確保できずに淘汰されるのは避けられない気がします。

また、生産性の低い事業者の後継者が見つからないのも自然の流れといわざるを得ないのでしょう。

とはいえ、大企業の労働生産性が高いのは、下請や調達元である中小企業を買い叩いているからではないかという意見もありますし、現実問題として、最低賃金を上げて中小企業が抱えられなくなった雇用が本当に生産性の高い企業に吸収されるのかという疑問もあるところです。

 

 

最後に一言。

今となっては、人口減少の流れを変えることはできず、過去の人口拡大時代の考え方はもはや通用しないことを痛感します。

誰かの名言ですが、改めて肝に銘じたいと思います。

 

 

“変わらずに残るためには、変わらなければならない。”