2026.9.2
こども性暴力防止法と前科確認(弁護士 今井 慶貴)
※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の理事長・企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」を引用したものです。

第112回のテーマ
この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
今回のテーマは、「こども性暴力防止法と前科確認」です。
その1.対象となる事業者は?
いよいよ本年(令和8年)12月25日、こども性暴力防止法(「日本版DBS」)が施行されます。
教育・保育などこどもに接する場での性暴力を防ぎ、こどもの心身を守るため、事業者に一定の措置を義務づける法律です。
制度の対象事業者は次のとおりです。
学校、幼稚園、認定こども園、認可保育所、児童福祉施設などの「学校設置者等」は、措置の実施が法律上の義務です。
一方、学習塾、スポーツクラブ、放課後児童クラブ、認可外保育施設などの「民間教育保育等事業者」は、国の「認定」を受けた場合に措置を実施します(認定は任意)。
認定を受けた事業者は、こども家庭庁のウェブサイトで公表され、取組の目印となるフクロウの絵の「こまもろうマーク」を使えます。
措置の実施状況は、国や所轄庁が定期報告や立入検査などにより指導・監督します。
その2.前科の確認と情報管理措置
事業者に求められる措置の中核が「犯罪事実確認」です。
こどもと接する業務の従事者について、雇入れや配置転換の際、特定性犯罪の前科の有無を確認しなければなりません。手続はこども家庭庁を通じて行い、確認の対象は、拘禁刑執行後20年、執行猶予判決確定後10年、罰金刑執行後10年の期間内にある性犯罪歴です。
教員や保育士は一律に対象で、事務職員や送迎バス運転手なども実態に応じて対象となり、短期の労働者やボランティアも含まれます。対象となる職種については、こどもとの関係で①支配性、②継続性、③閉鎖性を有するかという観点から判断されます。
現職者も、学校設置者等は施行から3年以内、認定事業者は認定から1年以内の確認が必要で、一度確認した従事者もその後5年ごとに再確認します。
前科が確認された場合は、性暴力のおそれありとの判断の下、こどもに接する業務に就かせない等の「防止措置」を講じます。
もう一つの柱が「情報管理措置」です。
犯歴という極めて機微な情報を扱うため、取扱者を必要最小限に限定し、利用目的の制限や第三者提供の禁止、記録の廃棄・消去などを徹底します。
確認結果は原則として国が新設するシステム上で扱い、別途の記録・保存は控えます。
みだりに他人へ漏らせば刑事罰の対象となり、漏えい時は国への報告も求められます。
最後に一言。
最後に一言。
確認手続には日本国籍者でも数週間を要します。
採用実務では、あらかじめ性犯罪歴がないことを書面で確認し、内定取消事由も明示しておくなど、施行前からの備えが肝心です。
~守るべきは、こども、そして前科情報~
※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。
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