2026.7.22

共同親権スタート!

共同親権スタート

令和8年4月1日から、共同親権等新しい離婚後の養育に関する規定を定めた民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が施行されます。

新しく始まる共同親権とはどういう制度なのでしょうか?

「親権」とは?

親権とは、子どもの利益のために、監護教育を行い、その財産を管理する権限及び義務のことです。

その中身は、大きく2つ「身上監護権」と「財産管理権」に分類されます。


身上監護の中には、日常生活の身の回りの世話をする監護権、教育を行う教育権、どこで暮らすのかという居所指定権や、子どもが働く場合の職業許可権、氏の変更や養子縁組、医療行為の同意権など身分行為の代理権などがあります。


財産管理権には、子ども名義の口座の開設、管理、子どものお金で物を購入したりする権限が含まれます。

従前

従前の民法では、未成年の子がいる夫婦の離婚にあたっては、離婚時に必ず未成年の子の親権者を、夫婦のどちらか片方に定めておくことが必要でした。

改正法施行後

令和8年4月1日以降に離婚する夫婦は、離婚時に、未成年の子の親権について、婚姻中と同様に共同親権とすることを選択できるようになりました。

施行前に単独親権者指定の形で離婚した夫婦についても、親権者変更の調停や審判手続きにおいて裁判所が認めれば、単独親権から共同親権に変更することが可能です。

共同親権

改正後の共同親権制度で、共同親権と定めた場合、原則としては、共同で親権を行使する必要がありますが、以下の場合には、共同親権を選択していても、単独で親権行使することが認められます。

(単独親権行使が認められる場合)
①他の一方が親権を行うことができないとき
 (改正民法824条の2第1項2号)
②子の利益のため急迫の事情があるとき
 (同3号)
③監護教育に関する日常の行為をするとき
 (同条2項)

①他の一方が親権を行うことができないとき

他の一方が、行方不明や重病、親権停止などの措置により親権行使ができない場合は、残された一方が単独で親権行使することが可能です。

②子の利益のため急迫の事情があるとき

子どもに緊急で医療行為を受けさせる必要がある場合、DVや虐待から避難する必要がある場合(被害直後に限られない)、入学手続き等期限が迫っているような場合などです。


共同親権であれば、本来居所指定権も共同で行使すべきですが、DV避難などの理由があれば、一方の親権者の判断のみで避難は認められる形となります。

③監護教育に関する日常の行為をするとき

子どもに重大な影響を与えない日常の行為については、いちいち他方親権者の同意を取らずとも単独親権行使が可能とされています。


例えば、短期間の旅行や習い事、高校生のアルバイト許可、心身に重大な影響を与えない医療行為の決定、通常のワクチン接種などは、単独親権行使が可能と考えられています。


他方で、転居、進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職する場合など)、心身に重大な影響を与える医療行為の決定、預金口座開設等の財産管理は日常の行為に当たらないと考えられています。

親権行使者の指定調停(改正民法824条の2第3項)

共同親権としたが、いざ共同して親権を行うべき事柄について協議した際に、父母で意見がまとまらないということも考えられます。

そのような場合には、家庭裁判所に親権行使者の指定調停ないし審判を申立て、裁判官に親権行使者を決めてもらうという形となります。

共同親権にするには?

①離婚届の様式変更について

共同親権導入にあたり、離婚届の用紙も新しい様式に改定されます。

未成年の子の氏名記載欄が、①父母双方が親権を行う子、②父が親権を行う子、③母が親権を行う子、④親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされている子に分けて記載可能となり、共同親権とする場合は、①欄に子どもの氏名を記載して離婚届を提出する形となります。


また改正法では、協議で定まらない場合に、親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てを行い、親権の決定を家庭裁判所の判断に委ねたことを条件として、離婚を先行することも可能となりました。

②裁判所で決定する場合

親権者が定まらない場合は、上述した親権者指定の家事審判や離婚訴訟の中で、裁判官に決めてもらうという形となります。


改正法(改正民法819条7項)では、共同親権、単独親権、いずれが原則とも定めていません。


ただ、①父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき、②父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、協議が調わない理由その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときには、父母の一方を親権者と定めなければならないとされました。

まとめ

離婚後の養育の在り方に新たな選択肢が増えたと言えます。

しかしながら、共同親権導入に伴い、社会がどのように変化していくのか、裁判所における手続がどのような運用で進められるのかなど不明な点が多いと言えます。

今回の法改正で子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないと定められました。

いずれにせよ、子どもの利益を中心に検討することこそ一番大切といえるでしょう。

<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2026年5月5日号(vol.315)>

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 橘 里香

橘 里香
(たちばな りか)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:沖縄県那覇市
出身大学:青山学院大学法科大学院修了

主な取扱分野は、離婚(親権、養育費、面会交流等)、男女問題。
そのほか企業法務、相続など幅広い分野に精通しています。メンタルケア心理士の資格を活かし、法的なサポートだけでなく、依頼者の気持ちに寄り添いながら未来の生活を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。

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