2019.5.15
”〇日間無料”の落とし穴!~ネット求人サイトのトラブルが多発(弁護士:今井慶貴)
4月29日の東京新聞に、「ネット求人 『無料』の誘惑 広告掲載後に高額請求 全国の中小でトラブル」という記事が掲載されました。
典型的なケースが紹介されていますので、少し記事を引用します。
(引用始まり)
「無料で二十日間、サイトに求人情報を載せませんか。案内をメールで送りたい」。
男性の会社に横浜市中区の広告会社から電話がかかってきたのは昨年九月。
人手不足で悩んでいた折、願ってもない申し出だった。
メールアドレスを伝えてすぐ、確認書と申込書が届いた。
申し込んでから二十日を過ぎて間もなく、掲載料四十八万六千円の請求書が届いた。
男性が抗議すると、広告会社は「解約の申し出がないので更新した」と主張。
確認書には「契約終了の四日以上前に申し出がない限り、期間を更新する」という趣旨の一文が目立たない場所に記載されていた。男性は約束と異なるとして支払いを拒否している。 |
(引用終わり)
昨年くらいから、全国的にネット求人サイトをめぐるトラブルが目立っており、日弁連の消費者問題メーリングリストにおいて弁護士間で話題となっていました。
当事務所でも、同種案件のご相談が結構あるようであり、私自身も広告業者に内容証明を送付した案件が複数ありました。
人手不足を背景としている中小の事業者は、勧誘を受けて、”無料ならいいか”という感じで、自動継続で有料となるとの意識が薄いまま、よく書類を読まずに求人サイトに申し込むケースも多いようです。
逆にいえば、広告業者としては、巧妙な説明により誤解や不注意を誘発しているという印象を受けます。
そうした求人サイトが求職者の目に触れればまだよいのですが、通常の検索ワードでは上位表示されることもありません。
したがって、数十万とはいえ、請求を受けて支払うお金はドブに捨てることになります。
広告を申し込んでしまった側としては、そもそも有料サイトを申し込む意思がなかったとか、書面と異なる説明があったとか、上位表示されないサイトであると誤解していた(錯誤無効)といった主張などが考えられます。
この手の広告業者は結構な数があるようですが、基本的には理由をつけて支払いを拒絶しておいた場合に、裁判まで起こされるケースは稀のようです。
もっとも、広告業者側で弁護士が代理人として登場するケースもあるようであり、油断は禁物です。
近年、求人サイトが普及していますが、仕事を探す側の目線に立って、信用ある広告業者のサービスを利用すべきでしょう。
”ただほど高いものはない”と肝に銘じておきたいものです。