2026.2.26
裁判所もAIを活用へ?(弁護士 今井 慶貴)
※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の理事長・企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」を引用したものです。
第106回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
今回のテーマは、「裁判所もAIを活用へ?」です。
その1.民事裁判へのAI活用の研究開始
1月20日の日経新聞(ウェブ版)に「民事裁判にAIを補助活用、最高裁が研究開始 効果など検証」という記事が載りました。
最高裁は、民事裁判に携わった経験のある裁判官6人で構成する研究会を設置し、同日、初会合を開きました。事実認定や判断でのAIの利用は想定せず、提出された主張書面の要約、時系列に沿った証拠の並べ替え、当事者の主張を対比する表の作成といった具体的な業務に関して、架空の記録を用いて検証するとのことです。
AIに詳しい民間事業者も参加し、効果的なプロンプト(指示)の内容などで助言を受けながら分析を進め、AIが誤った回答をする「ハルシネーション(幻覚)」の問題や、AIの補助的な活用によって裁判官の心証に影響を与えないかなどの課題も検証され、議論の結果は3月までに報告書としてまとめる方針です。
最高裁の担当者は、「AIの活用には様々な課題が見込まれる。多角的な検証を通じて慎重に検討する」と話しつつ、今後は本格的な実証実験も視野に入れているとのことでした。
なお、エストニアでは契約に関する訴訟のうち、7000ユーロまでの紛争をAIが処理する制度の構築が進んでおり、中国でも「スマート裁判所」の仕組みがつくられ、文書作成や量刑の検討などでAIが活用されている地域もあるとのことです。
その2.中山七里著『有罪、とAIは告げた』
そんな中で先日、書店でこの本が目にとまり、「半歩先のリアルを描く、リーガルミステリ」「安
野貴博司氏(AIエンジニア、参議院議員)、共感!」という帯に惹かれて読んでみました。
多忙を極める東京地裁の新人裁判官である主人公(女性)が東京高裁の幹部から中国から提供さ
れた「AI裁判官」を検証する任務を与えられた。
過去の裁判記録を入力すると一瞬で作成された判決文は、裁判官が苦労して書き上げたものと遜
色ないものであった。業務の効率化は裁判官達の福音となったが、主人公はAI裁判官に対する警
戒心を拭えなかった。
そんなある日、18歳の少年が父親を刺殺した裁判員裁判事件を担当することになり、裁判長は公
判前にAI裁判官にデータを入力したところ、出力された判決は「死刑」。
ついに、その審理が始まった(以下略)
…というあらすじです。
最後に一言。
最後に一言。
AIの活用は、昨今あらゆるところで模索され、実装されてきています。
司法界においても例外ではなく、情報管理や誤りに注意しながらも活用が進むでしょう。
それでも、人が判断するという大原則は守られるべきです。
~AIは、判断の責任を負うことができない。~
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