2024.11.27

電動自転車あれこれ(弁護士 今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」を引用したものです。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
理事長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

第91回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。

今回のテーマは、電動自転車あれこれです。

その1.モペットは原付バイクの扱いに

皆さんは「モペット」というのをご存じでしょうか?モペットは、電動モーターやエンジンで自走するペダル付きの二輪車のことで、バイクのような太いタイヤがついているタイプもあります。

本年11月から施行された改正道路交通法は、モペットについて、運転のルールや違反の規定を原付バイクなどと同じ扱いにすることを明文化しました。

ですので、公道を走る際には、運転免許証が必要ですし、ナンバープレートを取り付けて表示することやヘルメットを着用することも義務づけられています。

ペダルをこいで運転するモードの場合も同様ですので、注意が必要です。

似て非なるものが、1990年代から販売されている「電動アシスト自転車」です。

走行中にペダルをこぐ力を電動モーターが補助する仕組みの自転車であり、道交法では「軽車両」として取り扱わ
れます。ペダルをこがないと走行せず、アシスト機能が働くのが時速24㎞以下であることなどが定められています。

運転免許やナンバープレートはもちろん不要ですし、ヘルメットの着用は「努力義務」にとどまります。

普通の自転車と同様の乗り物であると考えてよいでしょう。

その2.特定原付とは?

さらに、鵺(ぬえ)的な種類の電動サイクルが存在します。

昨年7月施行の改正道交法で創設された「特定小型原動機付自転車」(特定原付)に該当するものです。

これは、600ワット以下の電動車、最高速度時速20㎞以下、190㎝×60㎝以内、必要な保安部品の装着といった要件を充足した車両であり、最近話題の「電動キックボード」もこの類型に属します。

「電動サイクル」にはサドルや足置きはあっても回転するペダルはないようです。

16歳以上ならば免許はいらず、ヘルメット着用も努力義務ですが、ナンバープレートや自賠責の加入が必要です。

この辺がいかにも鵺的です。

なお、特定原付のうち、歩道走行切り替えモードを備え、最高速度表示灯(緑色の灯火)を点滅させていること、時速6㎞超に加速できない構造であるものは、「特例特定原付」として歩道走行が可能となっています。

ここまで来ると、夏毛と冬毛の入れ替わる雷鳥のような鵺と言ってよいかもしれません。

取締りをする警察官は瞬時に見分けられるのでしょうか?

最後に一言。

時代に応じた新しい乗り物の規制のあり方に関しては、様々な考えがあるとしても、気軽に乗るような電動自転車については、誰でもわかるようなシンプルな制度がよい気がします。

わかりにくいルールは、現実に機能しない。


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