2025.4.3

ウェブ会議で口答弁論(弁護士 今井 慶貴)

※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」を引用したものです。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
理事長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

第95回のテーマ

この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。

気楽に楽しんでいただければ幸いです。


今回のテーマは、ウェブ会議で口頭弁論です。

その1.口頭弁論にウェブで参加する

令和6年3月から、民事訴訟の口頭弁論についてウェブ会議を利用して実施できるようになりました。

従来から、争点整理などを行う非公開の弁論準備手続の期日は、電話会議やウェブ会議で行うことができるようになっていました。

しかし、口頭弁論の期日は、裁判の公開原則との関係で公開の法廷で行われることが憲法上要請されることから、その要請を充足する必要があります。

そこで、口頭弁論期日の場合は、あくまで裁判官は法廷にいて、傍聴席には傍聴人が入れる状態になっています。

そのうえで、一方又は双方の当事者は、現実に出頭しなくとも、法律事務所などとウェブ会議で接続して、その映像が法廷に設置された大画面のディスプレイに映されることにより、傍聴人の観察のもとで公開性を充足した手続を行うことができるようになったのです。

裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、ウェブ会議によって口頭弁論期日の手続を行うことができます。

他方で、口頭弁論のインターネット中継については、改正法にはこれを許容する規定も禁止する規定も設けられていませんが、当事者のプライバシー等の問題もあり、今のところ実施される見通しはありません。

その2.紙の記録から電子記録へ

他にも、令和4年の民事訴訟法改正のうち、「住所、氏名等の秘匿制度の創設」「当事者双方がウェブ会議・電話会議を利用して弁論準備手続の期日や和解の期日に参加することが可能となる仕組み」は令和5年中に、「家庭裁判所の訴訟(人事訴訟等)の口頭弁論の期日のウェブ会議を利用した参加」「人事訴訟・家事調停におけるウェブ会議を利用した離婚・離縁の和解・調停の成立」は、令和7年3月から施行されました。

残された、「オンライン提出、訴訟記録の電子化」と「法定審理期間訴訟手続の創設」は、遅くとも令和8年5月までには施行されることになります。

書面の提出や送達がインターネットを通じて行われることになり、訴訟記録は、原則として電子データで保管されることになります。

提出する書面のフォーマットの違いにすぎないとは言えますが、裁判所や法律事務所の実務にとっては非常に大きな変化であることから、慣れるまではなかなか神経を使いそうです。

施行前に提起された訴訟は改正前の紙の記録のままですので、両者が併存する期間がしばらく続くことになります。

最後に一言。

遅まきながら、民事裁判のデジタル化も最終段階に入ろうとしています。

デジタルより紙の方が扱いやすい面もありますが、そうも言っていられません。

ドストエフスキー曰く…

~人間は何事にも慣れる存在だ。~


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