取締役の報酬はどうやって決まるの?(弁護士今井慶貴)

 

株式会社における「取締役の報酬」は、誰に決定権があるのでしょうか?

基本的なことですが、中小零細企業では意外と正しく理解されていないことがあります。

 

会社法361条1項は、次のように定めています。

 

「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

一  報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二  報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三  報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容」

 

このように、「定款」又は「株主総会の決議」で定めなければなりません。

取締役会などで決定すると、自分たちの「お手盛り」になってしまうからです。

 

したがって、総会決議では「報酬額の上限」を決める形でも構いません。

取締役の退職慰労金についても「報酬等」に含まれますが、一定の支給基準に従うのであれば、金額・支給方法等を取締役会に一任する総会決議も有効です(最判昭和39年12月11日)。

 

弁護士 今井 慶貴

 

<初出>

・顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年11月29号(vol.139)企業・団体チーム23

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。