120 年ぶり!民法大改正 重要ポイント解説 vol.2~保証契約~

 

民法改正重点解説の第2回目です。

今回は、事業を行う上で、何かと関係のある保証契約を取り上げます。

1 保証契約と連帯保証契約

単に「保証契約」という場合には、主債務者が弁済できなくなったときに限って、保証人は保証債務の履行責任を負います。

 

しかし、実務上よく用いられる「連帯保証契約」の場合には、連帯保証人は、主債務者とともに、債務を履行する責任を負うことになります。

2 連帯保証人に生じた事由の効力が主債務者に及ぶ場合

⑴ 旧民法では、連帯保証人について、履行の請求、更改及び混同が生じると、その効力が主債務者にも生じるとされていました(絶対的効力事由、旧民法434条ないし440条、458条)。

債権者が連帯保証人に対して履行の請求をした場合、主債務者に対しても履行の請求をしたものとして、時効の中断などの効果が生じるということです。

 

⑵ しかしながら、絶対的効力事由を広く認めると、主債務者が不測の損害を被るという問題点がありました。
そのため、新民法では、絶対的効力事由であった履行の請求、免除及び時効の完成について、相対的効力事由としました(新民法458条)。

 

⑶ 債権者の立場でいうと、連帯保証人に対する履行の請求だけでは、主債務の時効の完成を止めることができないので、注意が必要です。

3 債権者の保証人に対する情報提供義務

⑴ 債権者は、主債務者の委託を受けて保証契約を締結した保証人に対して、主債務の残元金、主たる債務に関する利息、違約金等に関する情報提供義務があります(新民法458条の2)。
また、債権者が、法人や事業者の場合だけでなく、個人の場合であっても、情報提供義務を負うことになるので、注意が必要です。

 

⑵ 主債務者が期限の利益を喪失した場合には、債権者は、その期限の利益の喪失を知った時から2か月以内に、保証人に対し、その旨を通知しなければならない、という義務も定められています(新民法458条の3、保証人が法人である場合を除く)。
債権者が、この期間内に当該通知をしなかった場合には、期限の利益喪失から当該通知をするまでに生じた遅延損害金については、これを保証人に対して請求することができなくなります。

これは、主債務者が期限の利益を喪失したことを保証人が知らなかった場合に、保証人が過大な債務を負担することのないよう、保証人を保護するための規定です。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 下山田聖

<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2017年11月5日号(vol.214)>

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。