2021.12.28
裁判でのWeb会議あれこれ(弁護士:今井 慶貴)
※この記事は、株式会社東京商工リサーチ発行の情報誌「TSR情報」で、当事務所の企業法務チームの責任者 弁護士今井慶貴が2017年4月より月に一度連載しているコラム「弁護士今井慶貴のズバッと法談」の引用したものです。
第56回のテーマ
この“ズバッと法談”は、弁護士今井慶貴の独断に基づきズバッと法律関連の話をするコラムです。
気楽に楽しんでいただければ幸いです。
今回のテーマは、裁判でのWeb会議あれこれです。
その1.Web会議までの道筋
昨年くらいからマイクロソフトの“Teams”を使ったWeb会議が裁判所でも活用されるようになりました。
私も今年に入り何件かの事件で経験しています。
最近はだいぶ慣れつつありますが、アカウントの不具合なのか、アカウントの切り替えや二段階認証がうまくいかず、なかなかサインインできずに苦戦したことがあったこともあり、あまり使い勝手がよいという印象は持っていません。
裁判所でのTeamsの利用は、一つの事件で一つのチームを作るという運用になっています。
Web会議をすることになった場合、裁判所書記官からFAXが届き、書記官のアドレスに、例えば、「令和3年(ワ)第XX号 被告代理人今井慶貴」といった事件番号と代理人名を記載した表題の空メールを送ります。
すると、最高裁から事件番号のついたチームのメンバーとして追加されます。
そして、Web会議の日には、Teamsを開いて、時間まで待っていると会議が始まり、裁判所と双方代理人が参加してWeb会議を行います。
不具合があると、裁判所に電話連絡ということになります。
その2.Web会議では
さて、Web会議が始まると、まず参加者の確認をしたうえで、提出書面の確認、争点整理、次回までの宿題の確認、次回期日の決定などを行います。
この流れは、リアルの裁判期日とほとんど変わりません。
書面をアップロードして共有して、画面上で確認することもできます。
交通事故とか境界争いの事案では、図面を見ることもあるので便利です。
ところで、裁判所Teamsへのサインインができるのは、開庁日の午前8時30分から午後8 時30分のみとなっており、それ以外の日時にはサインイン自体ができず、もちろんファイルの操作もできません。
“Web上も閉庁”しているのはいかにもお役所的な感じもします。
夜遅い時間や土日祝日に仕事をしがちな弁護士にとって、この点は評判がよくないようです。
今後、正式な書面の提出自体をWebで行う方向で準備が進められていますので、使い勝手の向上は欠かせないところです。
現在は訴訟事件や労働審判くらいですが、倒産事件等にも利用が拡大されれば、利便性は高くなると思います。
最後に一言。
コロナ禍でWeb会議の普及は急速に進みました。
IT関係で遅れていた裁判所も、徐々に新しい時代に進みつつあります。
こんな挨拶をする日も遠からず来るのでしょうか?
FAXさんさようなら。お世話になりました。
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