2026.9.17

【社内調査の進め方①】社内調査の目的・対応の流れ

※本コラムでは「社内調査の進め方」について6回に分けて解説していきます。第1回のテーマは「社内調査の目的・対応の流れ」についてです。


1.はじめに

企業活動において何らかの不祥事やその疑いのある事象が発生した場合、社内調査を実施する必要が生じる場面もあると思われます。

本稿から複数回、この社内調査に関する進め方等について説明していきたいと思います。


なお、不祥事の対応として、第三者委員会等を設置して行う場合もありますが、今回からの連載では、主として、比較的規模の小さい不祥事が発生した際に、会社自らが行う調査を念頭に置いて説明していきます。

2.社内調査の目的

そもそも、不祥事が発生した場合に、なぜ社内調査が必要になるのでしょうか。


行為者を処分するため、関係機関への報告のためなど複数考えられ、また、不祥事の内容によって異なることもありますが、多くの場合は再発防止のため、という目的が含まれているのではないかと思います。


では、このような企業が設定した社内調査の目的を達成するためには、どのような流れで進めていくべきでしょうか。

3.社内調査実施の流れ

社内調査を行うにあたっては、日本取引所自主規制法人が策定した「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」(以下「不祥事対応のプリンシプル」といいます。)が参考となります。 

例えば、再発防止策の策定のためには、不祥事の根本的な原因を把握する必要がありますが、不祥事対応のプリンシプルでは、「不祥事の原因究明にあたって、必要十分な調査範囲を設定の上、表面的な現象や因果関係の列挙にとどまることなく、その背景等を明らかにしつつ事実認定を確実に行い、根本的な原因を解明するよう努める。」とされています。


また、「そのために、必要十分な調査が尽くされるよう、最適な調査体制を構築するとともに、社内体制についても適切な調査環境の整備に努める。

その際、独立役員を含め適格な者が率先して自浄作用の発揮に努める。」としています。


このような内容からすると、社内調査の基本の流れとしては、不祥事の発生の把握(端緒)→調査範囲の設定、調査体制の構築等→事実調査の実施→原因の究明→再発防止策の策定・実施、というものが考えられます。


なお、調査対象範囲の設定等に関して、調査の目的に対象者の処分が含まれている場合は、懲戒処分に関する規定の適用の有無や処分の程度が判断できるよう、聴取事項等を検討する必要があります。

関係機関への報告が目的に含まれる場合も同様に、報告すべき事項から調査対象範囲を設定する必要があります。

4.おわりに

社内調査においては、設定した目的を達成できるよう、適切な流れで進めていく必要があります。


次回は、前記の調査の流れを前提として、不祥事対応の調査の端緒等について説明していきたいと思います。

◆参考:日本取引所自主規制法人「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」

<初出:顧問先向け情報紙「コモンズ通心」2026年7月5日号(vol.317)>

※掲載時の法令に基づいており、現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

◆連載◆社内調査の進め方
1.社内調査の目的・対応の流れ
2.社内調査・不祥事対応の端緒 ※準備中
3.社内調査体制の構築 ※準備中
4.社内調査における客観資料の収集・検証 ※準備中
5.準備中
6.準備中

この記事を執筆した弁護士
弁護士 鈴木 孝規

鈴木 孝規
(すずき たかのり)

一新総合法律事務所  弁護士

出身地:静岡県静岡市
出身大学:一橋大学法科大学院既修コース卒業

主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収など)。そのほか相続、金銭トラブルなど幅広い分野に対応しています。
企業法務チームに所属し、社会保険労務士向け勉強会では、ハラスメント対応をテーマに講師を務めた実績があります。

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