【コラム】障がい者雇用を戦略とするために知っておきたい3つのポイント

ポイント1 なぜ、今、障がい者雇用に取り組むべきなのか

 

障がい者雇用って、まず何から始めればよいの?

障がい者雇用?自社で行うにはまだ早いかも?

うちは中小企業だから関係ないかも?

 

このようにお考えの企業様も多いかと思います。

なぜ、今、障がい者雇用に取り組むべきなのか、まずはそこから解説してまいります。

 

現在首都圏では、障がい者雇用への取り組みが活発化しており、障がい者を採用しようと思ってもなかなか採用できない、といった現象が起きていると言われています。

従来は就職が困難とされていた障がい者が、なぜ採用に苦労するのでしょうか?

 

障がい者の「法定雇用率」についてご存知でしょうか?

現在施行されている障害者雇用促進法では、事業主に対して、その雇用する労働者に占める障がい者の割合が2%以上になるように義務付けられています。

この「2%」という企業に義務付けられた割合を「法定雇用率」といい、従業員50人以上の会社であれば、1人以上の障がい者を雇い入れることが義務付けられているわけです。

 

実は、この「法定雇用率」は、平成30年には現行の2%より上昇することとなっていることをご存知でしょうか?

これは平成25年に障害者雇用促進法が改正され、平成30年から改正法が施行されることによるものです。

 

現行法で雇用義務のあるのは身体障害者・知的障害者に限定されていましたが、改正法では精神障害者についても雇用義務の対象に加わるため、法定雇用率の算定基礎が変わり、計算上、法定雇用率の上昇は避けられないというわけです。

ポイント2 法定雇用率の上昇と納付金対象企業の拡大

「法定雇用率」の話と切っても切り離せないのは、障害者雇用納付金、いわゆる「納付金」の対象企業の拡大です。

 

「納付金」制度とは、法定雇用率が達成できなかった一定の従業員数を有する事業主に、達成できなかった人数に応じ、一人あたり月額5万円(一定の場合4万円)の納付が必要となる制度です。

既に、平成27年4月から従来「200人を超える事業主」が対象だったものを、「100人を超える事業主」にすることで対象が拡大しています。

 

先ほどの「法定雇用率」の上昇は、当然実際に支払うべき「納付金」の金額が増えることを意味します。

更に、「納付金」の対象企業もより少人数の企業にも拡大されることでしょう。

ポイント3 地方の中小企業にも影響は避けられません

冒頭で申し上げた「障がい者争奪戦」ともいえる状況は、こうした法改正の動向によるもので、首都圏の大企業を中心に進められています。

 

大企業は、より自社にマッチする障がい者を雇用するために、地方にも採用の範囲を広げているといわれています。

こうなってくると地方の企業にも影響が及ぶことは必至です。

 

さらに、「法定雇用率」の増加は、現在50人以上の企業に一人以上の採用が義務付けられているところから、当然、より少人数の企業にも義務化が進んでいくでしょうし、「納付金」の対象企業も現在の100人を超える事業主からさらに対象を拡大することは避けられないといえるでしょう。

 

「ウチは中小企業だから関係ない」とはいえない現実が迫っているといえます。

企業の規模を問わず、自社にマッチする障がい者を雇用するためには、今から取り組みを始める必要があります。

 

「障がい者雇用は企業にとって大きなプラスをもたらすもの」であり、また「障がい者は戦力」です。

 

ぜひ、今から、障がい者雇用に取り組んでいただければと思います。

社内制度の整備等、当事務所がお役に立てることがあるかもしれません。

ぜひ一度お気軽にご相談ください。