法人の破産手続き
簡単に言えば、経済的に破綻した債務者について、「破産法」という法律に則って、裁判所の選任した破産管財人が財産の換価や回収を行い、債権者に対して公平に配当を行う手続きです。
裁判所の監督下において権限のある破産管財人が主導して清算を行い、債権者の個別的権利行使が禁止されるなど、公平・公正な清算に向けた仕組みが整っています。
破産手続は、一部の例外を除き、債務者または債権者によって、裁判所に申し立てることによりスタートします。
大半は、債務者自身(法人の場合は代表者)が申し立てる「自己破産」となります。
当事務所に依頼される場合、破産の申立てに必要な書類の準備や作成だけでなく、タイミングや申立て前後の段取り(従業員や債権者への対応を含む)についても、混乱が最小限になるように配慮します。
多くの場合、破産手続開始決定前に、法人代表者と申立代理人は裁判所に出向いて、裁判官と管財人候補者の弁護士を交えて、会社の状況把握と手続開始後の方針決定のための質問などがなされます。
開始決定をすぐに出せない場合には、裁判所は債務者の財産が散逸することを防ぐために保全処分を発令することもあります。
破産手続開始決定が出されると、正式に破産管財人が選任され、財産の管理処分権は管財人に専属することになります。管財人は、債務者・債権者いずれの側にも立たず、中立の立場で破産手続を進めていきます。
このように、手続きを主導するのは管財人となり、代表者は財産管理処分権を失いますが、管財人に対する説明や協力する義務があるので、とりわけ手続き初期には補助的な業務をお願いすることもあります。
破産手続開始決定から概ね数か月後に第1回の債権者集会が開催されます。
裁判所が手続きを取り仕切り、管財人から、破産者の財産状況や管財業務の報告がなされたり、届出債権の認否が行われます。
代表者は、原則として債権者集会に出席する必要がありますが、申立代理人の弁護士も同席しますので、心配いりません。
債権者集会は、必要に応じて次の日時を決めて続行されます。
配当するだけの財産がないことがはっきりした場合、債権者集会にて破産手続の廃止(異時廃止)の決定がなされます。
最終的な配当が行われて清算が終了した場合、債権者集会にて管財人から収支報告がなされて破産手続の終結の決定がなされます。
終了までの期間は、ケースバイケースですが、早くて半年、通常は1~2年内には終了します。