経営者保証ガイドライン(単独型)を利用し、役員の個人任意整理を行った事例

<役員の個人債務整理に至る経緯>

X氏は、ある株式会社Yの専務取締役であり、金融機関2社からY社が借入をするに際し、連帯保証人となっていました。


Y社は、経営に行き詰まり、事業停止し、自己破産手続を予定していました。

Y社が経営破綻しますと、X氏は連帯保証人として、金融機関から残債務の一括弁済を求められてしまうこととなります。

そこで、X氏の債務整理を当事務所の弁護士が受任しました。

<債務整理として行った業務>

弁護士は、X氏の負債が金融機関からの連帯保証債務のみであること等から、直ちに自己破産手続を選択せず、経営者保証ガイドラインに則った債務整理を検討しました(主債務者である法人については自己破産手続や民事再生手続等法的債務整理手続を取る一方、保証人の債務整理についてのみ経営者保証ガイドラインに則った準則的私的債務整理手続をとることを、経営者保証ガイドラインの「単独型」などと呼びます。一方、主債務者である法人と保証人の債務を一体して整理する形を「一体型」と呼びます)。


弁護士はX氏の資産状況を調査し、金融機関2社に対して資産情報を開示しつつ、経営者保証ガイドラインによる解決の有用性(経済合理性など)について説明を行いました。


最終的に金融機関2社から了承を得ることができたため、簡易裁判所の「特定調停手続」を利用して、金融機関2社と合意を成立させ、債務整理を完了させました。

<本件のポイント>

X氏家族から一部返済原資の援助等を受けることにはなりましたが、X氏が加入している生命保険を解約せずに継続できるなど、自己破産手続を取らない債務整理を実現することができました。