親族経営による会社の法人倒産手続と、経営者の自己破産手続を行った事例

<相談前>どんな事で困っていたのか

一般住宅から公共工事に至るまで幅広い内装工事業を営む株式会社(従業員は親族の他に10名程度)からの依頼です。

慢性的に経常損失を計上している状況を脱することができず、手元資金や代表者親族からの資金援助で延命を続けてきたものの、1か月後には資金繰りがショートするとのことでした。

負債総額は、初回相談時のヒアリングから5億円を上回るものであることが明らかでした(その後の調査で判明した実際の負債額は6億円を超えるものでした。)。

代表者とそのご家族は、更なる事業継続は不可能と判断され、廃業するために弁護士に依頼したいとして来所されました。

<相談後>状況はどのように変わったのか

負債額が多額に上る上、事業譲渡などの方策がとることは難しいとの結論に至り、法人の自己破産手続きを取ることとなりました。

また、代表者をはじめその親族も多額の保証債務と、会社の事業資金に充てるための多額の借入をしている状況であったため、各自、自己破産手続を取ることとなりました(当事務所の弁護士の他、他事務所の弁護士にも協力を得ることとなりました)。

弁護士は介入後、直ちに、直近の資金繰り状況の整理と、仕掛工事の状況を確認し、弁護士が就任通知を送付した後の対応について代表者らと協議を重ねました。

受任後直ぐに、自己破産申立の準備に入ると共に、裁判所と事前協議を重ね、スムーズに破産管財人に事務処理を引き継げるよう準備しました。

また、従業員に対して未払賃金がありましたので、全従業員の解雇手続を行うとともに、独立行政法人労働者健康福祉機構による未払賃金等立替払制度を利用できるよう、事務処理の準備を進めました。

最終的には法人は異時廃止手続で破産手続を終了し、消滅しました。

代表者とそのご家族も自己破産手続をとり、破産免責により負債を免除され、現在は、各々の地で安定した生活を送っています。

弁護士からのコメント(見解)

事業再生を検討することが困難な案件であり、自己破産手続を選択せざるを得ない事案でした。

自己破産手続をとる場合には、裁判所への報告もさることながら、破産手続開始決定後速やかに、会社の財産管理等を行う破産管財人に対して事務処理の引継ぎを行うことが肝要となります。

当事務所では、法人の自己破産手続の経験が豊富にあり、できる限りスムーズな事務処理を目指して対応することを心がけています。