元契約社員から不当な雇止めを理由に損害賠償を提起された事例

<相談前>どんな事で困っていたのか

過去に有期労働契約を締結していた従業員の代理人弁護士から、不当な雇止めを受けたことを理由として損害賠償を求める書面が届いた、ということで相談に来られました。

<相談後>状況はどのように変わったのか

当事務所が会社の代理人に就任し、期間満了による労働契約が終了するに至った経緯について説明する文書を送付しましたが、相手方は納得ができなかったようで訴訟となりました。

訴訟では、期間満了による労働契約が終了するに至った経緯から不当な雇止めとはいえないことを、現存する証拠をもとに主張・立証を尽くしました。

本件は、労働契約が終了してから請求を受けるまで期間が空いており、証拠となりうる当時の資料の一部が廃棄されてしまっていたこと、また、当時、会社側にも本人の意思確認が不十分であった点もみられたことから、一定額の支払は覚悟せざるを得ない事案でしたが、最終的には、相手方の請求額を大幅に減額した形での裁判上の和解で解決しました。

弁護士からのコメント(見解)

労働者が会社を辞める際、労働者側から退職等を申し出た場合を除き、解雇や退職勧奨、雇止め等でトラブルになることが多くあります。
このようなトラブルを防止するため、会社側としては、事前に、労働者に退職等してもらうべき理由が十分かを慎重に検討し、労働者側の理解を得られるよう十分な説明をすべきであり、必要に応じて、顧問弁護士等の専門家に相談すべきです。

また、トラブルになった場合に備えて、労働者とのやりとりに関する書面、日報等の記録は長期間保管すべきです。
民法改正により、2020年4月1日以降に支払われる賃金債権については5年(当分の間は3年)で消滅時効になるとされていますので、保管期間はこちらを参考にするのがよいかと思われます。