退職勧奨後に元社員から退職無効を主張され訴訟に発展したが、和解に至った事例
<弁護士に相談する前、どんな事で困っていたのか>
サービス業を営む株式会社からの依頼案件です。
職務怠慢と不適切な業務遂行により会社に損害を与えた経理担当者に対して、経営陣から退職勧奨を行い、当該経理担当者から退職届が提出され、同社を退職しました。
数日後、経理担当者は地域ユニオンに加入し、退職届の提出が強要されたものであると主張し、復職を求めてきました。
<弁護士に相談した後、状況はどのように変わったのか>
地域ユニオンとの団体交渉開始前に相談に来られ、当事務所の弁護士が代理人として団体交渉に関与しました。
団体交渉では地域ユニオン側が一方的な要求を述べるのみで解決の糸口を見つけることはできませんでした。団体交渉を数回やった段階で、経理担当者側も解決にならないと感じたのか、経理担当者側から地方裁判所に退職の無効を主張して地位確認請求訴訟の提起がされました。
当事務所の弁護士が複数名で対応し、経理担当者が退職勧奨を受けるに至った経緯を細かく分析し、根拠資料の収集を行いました。
また、退職勧奨をし、退職届が提出された現地の確認や、その時の状況についてのヒアリングを行い、退職届の提出を強要したものではないことの主張立証を行いました。
最終的に証人尋問まで実施しましたが、退職届の提出が強要されたとは言いがたいとの裁判所の心証を受けて、経理担当者の合意退職を確認する内容での和解が成立しました。
<弁護士からのコメント>
労使紛争では、使用者側に要求される事項が多く、一度労使紛争が発生すると使用者側(会社側)は厳しい立場に立たされることがほとんどです。
完全に使用者側の希望のとおりに解決できることは多くないのが実情です。
最近では団体交渉を経験している経営者も多くなく、労働組合から団体交渉の申入がなされただけで不安にさいなまれる経営者の方も少なくありません。
そのような中で、不十分な知識や経験に基づいて誤った対応をすると、解決が遠のくことにもなりかねません。
そのため、早急に弁護士に委任することを検討いただくべきです。
また、一度労使紛争が発生してしまうと遅いともいえます。
問題を抱える従業員がいる場合には、すぐに退職させることは実際には困難ですので、問題が大きくなる前から弁護士や社労士に相談し、時間を掛けて解決させていくことが必要になります。