少数株主の第三者への株式売却

<相談前>どんな事で困っていたのか

株主の大半が親族である同族企業のA社に、少数株主から株式を購入した経営コンサルタント会社から、株式の譲渡承認を求める内容証明郵便が届きました。

A社の社長は、得体の知れない会社が株主になろうとしていることから、不安になり、弁護士に相談しました。

<相談後>状況はどのように変わったのか

A社の社長からお話を聞くと、少数株主から取得したという株式は、過半数に及ばないものの、A社は内部留保が大きかったことから、時価相当額が高額になることが見込まれ、買取資金の調達は難しい状況でした。


そこで、株主総会時や株主権行使への対応は弁護士の支援を得ることにし、譲渡を承認することにしました。

しばらくして、経営コンサルタント会社からもとの少数株主に株式が再移転する旨の通知が届きました。

弁護士からのコメント(見解)

上場株式と異なり、中小企業では定款により株式譲渡制限がついている会社が大半です。

そうした会社の少数株主は、役員を選任するなど議案を通すだけの議決権もなく、配当が満足になされない場合には、株式を保有している意義が乏しいといえます。

他方で、内部留保が多い会社だと相続税の負担が生じる場合もあり、少数株主からすると、株式を買い取って欲しいというニーズがあります。


最近、そうしたニーズに応えようとするコンサル会社などが、株式を取得して会社に対して株式譲渡承認請求をするケースが見られます。

ここで慌てて譲渡を不承認とすると、会社が株式を買い取るか、買受人を指定しなければならず、さらに売買代金が折り合わなければ裁判所が決めるルートに乗ってしまいます。


最初の方針選択が重要ですので、株式の問題で懸念がある場合には、企業法務に強い顧問弁護士を選んでおくとよいでしょう。