顧客(個人)が亡くなった後、相続人からの売掛金回収に成功した事例

<相談前>どんな事で困っていたのか

小売業を営む小規模零細企業からのご相談です。


これまで掛け売買で取引をしていた顧客(個人)が亡くなったため、未払いとなっている売掛金をその人のお子さん(娘さん)に請求したところ、一切支払いに応じてくれない、どう対処したら良いか、というご相談でした。


販売の都度契約書を作成するわけではない取引でしたが、販売の記録は帳簿類から裏付けがとれる状態にありました。

また、販売した物が欠陥品などという苦情を言われているのではなく、ただお子さんから支払いたくない、と言われている状況にありました。

<相談後>状況はどのように変わったのか

相談に来られた際に、故人の方の債務が法定相続人に承継されることをご説明し、再度相談会社からお子さんに支払いを請求してもらうこととなりました。

しかし、それでも支払いに応じてもらうことはできず、結局当事務所に依頼をし、債権回収を行うこととなりました。


弁護士が介入したことで、相手方も専門家による相談を受けたらしく、最終的には任意での支払いに応じてもらえることとなりました。


売掛金額がそれほど高額でなく、弁護士費用を負担してまで弁護士が委任するかどうか悩ましい案件ではありましたが、未回収の売掛金問題を解決させることで、売掛金回収事務から従業員の方を解放することができ、経済的側面以外のメリットを実感いただけました。

弁護士からのコメント(見解)

小売業に限らず、売掛金を回収する前に債務者が死亡し、その相続人に対して請求する場面は少なからず存在します。

相続人は、自分自身が購入したり契約したものではないことから、支払いに躊躇することが多く、場合によっては法的手続によらなければ回収できないことにもなり得ます。


後の回収トラブルを生まないために、まずは、販売の事実で争いが生じないよう準備することが必要です。

とはいえ、買回品等の販売に逐一契約書を作成することはないでしょうから、せめて売上伝票や在庫帳簿の記載を適切に付けておくことが求められます。


また、売掛金が多額に上っている高齢者の顧客に対しては、適宜に売掛金総額を説明すると共に、売掛金が存在することについて間違いがないことを認める書面(債務承認書などと言います。)の作成を依頼することが考えられます。