3年ぶりの引き下げで、2020年4月からいくら安くなるの??自賠責保険。(弁護士:渡辺 伸樹)

 

自賠責保険料の引き下げで、実際どのくらい安くなるのか?

 

先日、自賠責保険の保険料が2020年4月から平均16.4%引き下げとなることが金融庁より発表されました。

 

これにより2年契約の自賠責保険料(沖縄・離島を除く)は以下のとおり減額となる予定です。

 

種別 2020年3月まで 2020年4月から
自家用普通自動車 25,830円 21,550円(4,280円減)
軽自動車 25,070円 21,140円(3,930円減)
原動機付自転車 9,950円 8,950円(1,000円減)
自動二輪車(250cc以下) 12,220円 10,160円(2,060円減)
自動二輪車(250cc超) 11,520円 9,680円(1,840円減)

 

自賠責保険は、ご存じのとおり自動車等の所有者に加入が義務づけられている損害保険です。

 

人身事故を起こしてしまった場合、一定の基準に沿って被害者に対し保険金が支払われます。

車の修理費用などの物損は補償の対象になりません。

 

自賠責保険(共済)は、交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんすることにより、基本的な対人賠償を確保することを目的としており、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車に加入が義務付けられています。

なお、無保険車による事故、ひき逃げ事故の被害者に対しては、政府保障事業によって、救済が図られています。

自賠責保険(共済)とは? – 国土交通省

 

支給される保険金は、傷害による損害で120万円、死亡による損害で3,000万円が上限です。

後遺障害が残った場合、認定された14級(軽い)から1級(重い)の等級に応じて75~4,000万円の範囲で上限額が設定されています。

 

今回の保険料の引下げは、交通事故による死傷者数が年々減少していることを受けてのものです。

 

警察庁の統計によると、全国の交通事故による負傷者数は2019年に460,715人となり15年連続で減少し、死者数も2019年は3,215人で統計を取り始めて以来過去最少を記録したということです。

ご参考

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まとめ

自賠責保険は被害者救済のために欠かせない保険ですが、一方で、現場の弁護士の感覚としては、自賠責保険の後遺障害の審査は大変厳しいなという印象を持っています。

 

労災保険の審査で8級と認定された後遺障害が自賠責保険の審査では11級というように、下位の等級が認定されることも珍しくありません。

 

前述したとおり、後遺障害が残存した場合、認定された等級に応じて支払われる保険金の額は大きく変わってきます。

 

増税等で家計の負担が増える中、自賠責保険料が引き下げられることは大変喜ばしいことですが、保険料の引下げをきっかけに、後遺障害等級の審査がさらに厳しくなることがないよう祈るばかりです。

 

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 渡辺 伸樹

渡辺 伸樹
(わたなべ のぶき)

一新総合法律事務所 
理事/長野事務所長/弁護士

出身地:新潟県上越市
出身大学:中央大学法科大学院修了
主な取扱分野は、交通事故、、労災、企業法務。そのほか、幅広い分野に精通しています。 保険代理店向けに、顧客対応力アップを目的として「弁護士費用保険の説明や活用方法」について解説するセミナー講師を多数務めた実績があります。