2018.1.17

若手行司へのセクハラ事件が発覚!社内でセクハラが起きたときの適切な処分は?

弁護士の 五十嵐 亮 です。

 

 

相撲協会の行司が、若手行司の男性に対し、数回キスをしたり胸を触ったりしたりするセクハラ行為をしたとして、相撲協会が懲戒処分を検討しているとの報道がありました。

横綱・日馬富士の暴行事件に端を発する相撲界の不祥事は、収まる気配がありません。

 

今回は民間企業でセクハラが起こった場合の法的な問題点についてみていきたいと思います。

 

 

セクハラ行為とは、男女雇用機会均等法に定めがあり、「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること」(環境型セクシュアルハラスメント)とされています。

 

事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客などもセクシュアルハラスメントの行為者になり得ます。

また、男性も女性も行為者にも被害者にもなり得るほか、異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当します。

 

セクハラ行為に関しては、多くの企業が懲戒事由として定めています。

 

そもそもセクハラに該当するのかどうか、該当するとしてどのような処分が妥当かについては、行為者・相手方の地位・関係、行為の場所・時間、相手方の対応、行為の継続性、婚姻の有無などの事情を総合的に勘案して判断されます。

 

裁判例をみると、行為の態様が一見悪質であっても悪ふざけの類として違法とまでいえないとしたものや、被害者の置かれた状況等によっては、人格を侵害し重大な損害をもたらすものとして厳しく評価しなければならないものまで様々です。

 

 

では、セクハラが発覚した場合にはどのような処分が相当なのでしょうか。

 

管理職が環境型のセクハラを行った事案について、注意処分を経ることなくいきなり減給処分とすることは重すぎるとして懲戒処分を無効とした裁判例があります。

ほかの裁判例をみると、行為の継続している場合や注意されても繰り返しているような場合に、懲戒処分が有効とされる傾向にあるといえます。

 

いずれにしても、セクハラ事案に対しては、正確な事実調査と適切な処分をすることが重要となります。

 

セクハラ事案は、放置すると、被害者が精神障害を発症するなどして労災問題・賠償問題に発展することもありますので、早期に適切な対応をとることが重要です。

 

コンプライアンスの問題については、 こちら もご覧ください。