違法な長時間労働と企業の責任

弁護士の今井慶貴です。

 

メディア企業における長時間労働関連のニュースが相次いでいます

 

大手広告会社の電通が新入社員に違法な残業をさせていたとされる事件で、今月6日、東京簡裁は電通に対し罰金50万円の有罪判決を言い渡しました。
4日には、NHKの記者だった女性が2013年に心不全で死亡したのは過重労働が原因だったとして、労基署が労災認定をしていたことがわかりました。

 

 

前途ある若者がこのように失われるのは、大変痛ましいことです。

学業優秀で「よい会社」に入った人ほど、入社後に過剰適応し、頑張りすぎてしまいがちです。

それゆえに、従業員の業務量を管理し、メンタルヘルス不調者に対しては適切な対応をすることが経営者に求められています。

 

それにしても、電通に対する罰金50万円というのは、なんと軽いのでしょうか。
電通のような大企業にとっては、蚊に刺されたほどにも感じない金額でしょう。

 

労働基準法では、違法な長時間労働に対する罰金は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と定められています。
今回の裁判で電通は、4人の社員の違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われていました。

 

もちろん、会社が負わなければいけない負担は他にもあります。

 

労働者が長時間労働によって過労死した場合、一般的に、遺族は事業主に対して慰謝料と逸失利益を請求することができます。
1991年に発生したいわゆる「電通事件」では、裁判所が1億6800万円もの賠償金の支払いを命じたとされています。

 

また、今回の事件のように大きく報道がされれば、企業イメージが著しく低下し「ブラック企業」の烙印を捺されるリスクもあります

このように、企業側のリスクはけして小さくはありません。

 

しかし、独占禁止法や金融商品取引法が違反行為に多額の罰金や課徴金を課しているのと比較すれば、労働基準法が定める罰金の上限はいかにも安すぎるように思います。