【弁護士コラム】取引先の信用調査

信用調査の重要性

 

当事務所には、事業者の皆様からお金の回収に関する相談が多く寄せられます。

「取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった」

「商品をきちんと納品したのにいつまでたっても代金が支払われない」

といった相談が典型です。

 

取引先がお金を支払わない理由は大ざっぱにいうと、支払能力(財産)はあるけど支払いたくない場合と、支払いたくても支払能力がなくて支払えない場合の2類型に分けられます。

 

このうち支払い能力がある場合は、法的手続をとり、相手の財産を差し押さえることで回収を実現できる見込みがあります(もちろん訴訟等で勝てるだけの証拠がそろっていることが大前提です)。

 

一方、支払い能力がない場合は問題となります。取引先が倒産してしまったような場合などがこれにあたります。

取引先に財産がなく、担保もとっていなかった場合には、回収は容易でありません。いくら立派な契約書を交わしていたとしても、実際に回収できるかどうかとは別の問題です。

 

このことは金額の大きな契約をするにあたって特に注意しておいていただきたいことです。あらかじめ契約の際に保証金や保証人などの担保をとっておければ良いのですが、取引内容や、相手との関係、商慣習などから担保はそうそう簡単に要求できるものではありません。

 

そのような場合でも、せめて事前に取引相手の支払能力について調査をしていれば、最悪の事態を未然に防げることがあります。

以下では、取引相手に知られず、なおかつ手間をかけずにできる信用調査の方法を紹介します。

信用調査の方法

 会社の登記事項証明書の取得

取引の相手が会社である場合、その会社の登記事項証明書を取得することが調査の第一歩です。

『現在事項証明書』を取得すれば、本店の所在地・会社成立年月日・事業の目的・資本金の額・役員構成など会社の現在の情報を確認することができます。

 

さらにすすんで『履歴事項証明書』や『閉鎖事項証明書』まで調べれば、上記事項についての現在までの履歴を確認することができます。

 

事業目的の履歴をみれば事業の縮小・拡大がわかることがありますし、役員の履歴を見れば、過去に会社内部でいざこざがあったことを推測できることもあります。

 

案外知られていないことですが、登記事項証明書は、法務局で手数料さえ払えば誰でも簡単に取得することができます。取得したことが相手の会社にばれる事もありません。  

不動産登記事項証明書の取得

次にすべきは不動産の登記事項証明書の取得です。

これについても会社の登記事項証明書と同様に法務局で取得できます。

他人が所有する不動産についても取得できますし、市外県外のものでも取得できます。

 

取引の相手方が法人である場合には、まずは本店、支店、事務所、営業所の所在地にある土地と建物について登記事項証明書をとってみましょう。

相手方が個人である場合には住所地のものを取得してみましょう。

これによりその不動産の所有者や担保権の設定状況などが確認できます。

 

不動産が担保に取られている場合、所定の欄に「抵当権設定」などと記載されており、あわせて債権者・債務者・債権額等が記載されています。

ここから金融機関や他社に対する負債状況を確認できるケースが多いです。

 複数の債権者による担保権が設定されており、不動産価値が負債総額を上回らないであろうことが見込まれるような場合、その不動産がいくら相手の所有であったとしても、財産としてあてにすることはできません。

 

また、登記事項証明書をみれば差押えの事実も明らかになります。所有不動産が差押えられているような場合には、資金繰りが苦しいことが強く疑われますので、そのような相手とは取引を行わないよう注意しましょう。 

訪問・面会

相手方事業者の規模にもよりますが、できれば契約前に相手方の本社・営業所・工場等を一度は訪問しておくとよいでしょう。「つぶれる会社はトイレが汚い」という逸話もあるくらいです。

 

訪問することで思わぬ発見があるかもしれません。 

インターネットの活用

インターネット上にも多くの情報が落ちています。まずは相手方の商号・店名・代表者氏名などで検索して、ホームページ、ブログ、SNSなどがあれば確認してみましょう。

 

ホームページには取引銀行や主要取引先などが書かれている事もあり、そこから預金や売掛金の所在が明らかとなることもあります。

インターネット上の情報はあとで消去されることもあるので、そういった重要な情報が見つかった場合にはすぐにプリントアウトして保存しておくとよいでしょう。

さいごに

馴染みのない相手とそれなりの規模の取引をする場合には、ぜひとも上記の調査をしてみてください。

また、継続した取引の途中でも、相手の支払能力に不安を感じた場合には、改めて調査をしてみることをおすすめします。

 

「登記事項証明書の見方がよくわからない」など、もう少し突っ込んで聞いてみたい方は、当事務所まで遠慮なくご相談ください。